『がくどうの、なんでもない、ある日の風景』
〜指導員の日記(がくどう通信)より〜
いつもの公園では、どんぐりがたくさん落ちる季節になりました。 ある日、ケンタとモモコとナナで、どんぐりを拾うことになりました。 先に誰か拾った後なのか、始めはなかなか見つかりません。 しかし、公園の隅の方までしっかり探すと、小さいですが、 コロコロと落ちていました。一つ一つ拾い集めていくと、 だんだんと手に収まりきらなくなり、やがてポケットにも詰め込んでいました。 ふと気づくと、みんな水道の近くにある倉庫の裏に、こそこそと入って行きます。 「何をしているんやろう?」と思い、近づいてみると…
子どもたちは、容器に水を入れ、その中に拾ったどんぐりを入れて洗浄していました。 きちんと役割分担をしていて、ケンタがどんぐりを水に入れ、かき混ぜる。 ナナはそれを選別し、モモコが拭く。まるで小さな工場のようでした。 みんな楽しそうに作業を進めていました。 そして、きれいになったどんぐりを袋に入れて、ケンタが大事そうに学童に持って帰りました。
また別の日、今度はユウマとソウタとリョウが、朝からどんぐりを集めていました。 ペットボトルにどんぐりを詰めこみながら、公園中をうろうろ歩いていました。 昼からはハルキも加わり、朝に拾ったどんぐりを使って工作をすることにしました。 どんぐりの平らになっている方に穴を開け、その穴に楊枝を差し込んだら「こま」の完成です。 作品ができあがると、次は、作った「こま」で対決しよう、ということになりました。
それぞれ慎重に自分のどんぐりを選び出し、個性を出すために好きな色で模様を描きました。 ひとつ出来上がると試しに回してみました。始めはきれいに回るのですが、 軸がずれているせいか、すぐにグラグラして倒れます。ユウマもソウタもリョウも、 みんな同じようになっていました。
「じゃあ、もっと安定したん作るわ!」と、三人はもう一つより良い物を目指して作り始めました。
その間ハルキは黙々と、ちょっと見た目の違うこま作りに取り組んでいました。
「さすが工作上手なハルキだな!」と感じました。ハルキの作品は、基本のどんぐりに四箇所穴を開けて楊枝を刺し、 四つの先にそれぞれどんぐりをくっつけた大きめのこまです。 回してみると結構きれいに回りました。 しかし、少し重すぎて長くは回らず、 「これ、安定はまあまあええけど、重すぎる。」と、笑いながら言っていました。 ハルキも二個目に挑戦です。
みんな納得の行くこまが完成し、いよいよ対決です。 全員一緒にせいので回し始めます。私が最初に脱落し、それに続くようにユウマも脱落しました。 ソウタは、はじめのより小ぶりなどんぐりを使い、いつまでも回り続けていました。 ダントツでソウタの勝ちでした。 一個目とは全然違う安定した回転に驚きました。 ユウマもどこかうらやましそうでした。 最後にハルキが笑いながら出してきたこま「ハルキ二号」は、殻を剥かれたこまでした。 見た瞬間おもしろくて笑ってしまいましたが、殻がないことで思い通りの形に削れ、 安定した回転を作りだすことが出来ていて感心しました。
みんなの個性が出た、どんぐりのこま作りは、とても楽しかったです